大学推薦入試物語

入試

高校3年生のTくんは、中1からウチの塾に通っている。

塾歴が長いからというのもあるが、

学校のことや部活のこと、友人や恋人のことなど、

割と何でも話してくれる。

そうなるとやっぱり指導する側としても

思い入れはある。

そんなTくんの物語。

Tくんは数学・理科など理系科目が苦手なタイプである。

しかし彼には、私が見てきた数百人の生徒の誰にも負けないくらいの才能があった。

それは、「努力できる才能」だった。

高校入試のときには、苦手な理科を克服するため、

全国の入試問題を解きまくった。

苦手だから当然わからないところが沢山出てくる。

そして全部質問して、次の日とかにまた全部やっつけようとするのだが、

見事に撃沈する。

でも決して諦めない。

自分で正解できるようになるまで何回でも解きなおしていた。

入試では目標点には届かなかったものの、

無事に第一志望の、地域の2番手校に合格した。

高校に入るとすぐに、

塾長、オレ指定校推薦で○○大学に行く!

と目標を決めた。

普段も学校でわからないところがあれば

自習にきて質問し、

テスト1か月前からは学校帰りに毎日来て、

4~5時間ずつくらいは勉強していた。

それを高校1年から3年夏まで続けた。

でもやっぱり数学・理科は苦手だった。

2次関数の最大・最小値を求める問題で

軸が動いちゃうヤツとか、

波動の「y-xグラフ」と「y-tグラフ」の違いとか、

群数列とか三角関数の不等式とか

格子エネルギーとか、

彼が解けるようになるまで何回も説明した。

そして定期テストでは大体8~9割を取ることができていた。

(三角関数のときだけは6割くらいで本当に悔しそうだった。)

そんな彼の1年から3年1学期までの評定平均値は4.4だった。

彼の行きたい大学の指定校推薦の基準値は4.0だったので、

基準はクリアしていた。

そして運命の指定校推薦の校内選考の日。

彼は塾に入室する前から泣いていた。

教室に入って自習ブースに座ると号泣した。

最初はどっちの涙かわからなかった。

そして一言。

「ダメだった…」

「どっちに転がるかわからない」と

ボクも頭では分かっていた。

4.4だとライバルに負ける可能性も十分あるってことも分かっていた。

でもね、「努力は報われる」っていうなら

「彼は報われるだけの努力をしてきた」

と感じていたから、なんとなく通るんじゃないかと

思ってしまっていた。

そして彼は今一般入試に向けてメチャクチャ努力している。

正直、彼が一般入試で第一志望校に合格するかわからない。

まあ、誰にも分らないか。

点数取れば受かるし取れなければ落ちる。

それだけ。

だけど間違いなく言えることがある。

彼は高校生活や受験勉強を通して、

より良い人生を送るために必要な力を身につけている。

Tくん、

大学入試結果はどうなるかわからないけど、

君はきっとこれからの人生をスーパーハッピーに

生きていくことができるよ。

正しい努力は必ず最後には報われるから。

だからガンバレ。

*****春の追記*****


Tくんは無事に第一志望校に合格しました!

めちゃくちゃ嬉しい。

オレ塾やっててよかったなー。

感動をありがとう!!

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