「講習費高くない?」
「全部取らなきゃいけないの?」
「講習受けなくてもいいんじゃない?」
このような疑問に対し、現役個別指導塾の塾長がお答えします。
なぜ個別指導塾の講習費が高い(と思われている)のか
塾において講習期間は書き入れ時です。
ここぞとばかり儲けたい経営者がいるのも事実ですし、大手の個別指導塾の中にも各教室にノルマを課して売り上げ目標を達成するよう指導しているところもあります。
実際私の賞与も講習の利益から一定の割合で支給されます。
こんなことを言うと「結局金儲けなんかい!」と思われるかもしれませんが、塾も営利企業であるのである程度は仕方ありません。
通常時は損益分岐点ギリギリで、講習費で何とか黒字化できている塾もあるくらいです。
塾運営においては講習での売り上げは生命線なのです。
問題なのは「過剰に儲けたい悪徳塾が本来不要な回数まで売りこんでくることがある」ということなんです。
私のところを含めて多くの個別指導塾では講習の前に面談を行います。
その時に内容や回数を提案するのですが、悪徳塾だとその提案に根拠がありません。
(「儲けたいから100コマ取って」とはさすがに言えませんからね。)
まともな塾にはきちんとした根拠があります。
例えば私のところでは、
①学校のテスト結果を分析
②実力テスト結果を分析
③講師からの情報収集
④生徒との相談(志望校・やる気・家庭学習・部活など)
これらを経て目標達成のために最適と思われる内容を考えます。
その結果として結構な回数が必要になる場合がありますが、それは結果を出すために必要なんです。
例えば中3の夏に入会し、受験に向けて中1基礎から学ばなければならず、志望校のレベルと実力にギャップがあるような場合はそれなりの回数が必要になります。
そのような場合にはどうしても金額的に大きくなってしまいます。
また、通常授業期間に学校の勉強にきちんとついていくための指導をしている場合、過去に学んだことまで遡って丁寧に復習する時間が取れない場合もあります。
そのような場合は必然的に講習期間を使って基礎固めをすることになります。
ということで「なぜ高いか?」のお答え。
ちなみに私は提案するときに「高いか安いか」は考えません。
ご家庭により経済状況が異なる中で、勝手にこちらが「高いな」と判断することは失礼なことだと考えています。
目標を達成するために必要であるかどうかだけを考え、回数を設定しています。
提案されたコマ全部取らなければいけないの?
私は提案コマ数を検討する際に、「最も効率よく成果を出すために必要なコマ数」を考えます。
つまり無駄なコマは1つもありません。
中長期的な目標を達成するために次の講習期間でどこまでできるようにしておくべきか、レギュラー受講科目以外にもサポートが必要な科目はないか、忙しい生徒の場合どのくらい塾に時間を割けるか、なども考慮してカリキュラムを作成します。
提案通りに受講されない場合、進度に遅れが生じたり理解度に不足が生じたりすることがありますので、結論、全部取ったほうがいいです。
ただ、提案を鵜呑みにすればいいというわけではありません。
根拠を確認し、本当に必要だと判断できたら取ってください。
上述のとおり、中には「たくさん払ってくれそうだから多めに提案しておこう」という良くない塾もあります。
納得いくまで相談して決定するようにしましょう。
予算や日程の都合ですべては受講できない場合もご安心ください。
普通の塾であれば行える授業の中で最大限の効果を目指して指導していくはずです。
一番困るのは「講習?そんなもん取らん!」「だけど成績はしっかりあげろ!」というケース。
ほとんどそんなケースはないですが。塾にもできることとできないことがあるのです。
講習取らないとどうなる?
結論から言うと成果が出にくくなります。
数学・英語など積み上げの科目において定期的に土台のメンテナンスを行うことは学力の安定につながりますし、講習期間に予習をある程度進めておけると新学期にスタートダッシュできます。
入会したての生徒の場合、土台となる知識の不足が大きくて新しい内容の理解が進まないことがあります。
(例)中2数学で一次関数から指導するケース
→「交点求めるのに連立使うから解けるかチェック!」
→「連立の前に1年の方程式が解けないな」
→「方程式解けない原因は1年春の正負の数の理解不足と小学校の分数計算の理解不足だ」
このようなケースだと講習期間に正負の数とか分数とか復習しないと、全く一次関数が進みません。
もちろん通常授業の中でもそのあたりは復習しながら進めるのですが、それだけ復習すべき項目が多いとどうしても学校の進度に合わせることが難しくなります。
一応講習取らずに成果が出たケースもお知らせしておきます。
もともと考える力が高く、暗記も得意で自己管理ができる生徒の場合はうまくいくことがあります。
レールをしっかり敷いてあげれば自分で走っていけるタイプです。
宿題の内容や分量を工夫し、疑問点は授業外でも必ず質問するようにすると授業数が少なくてもきちんとした成果が出ることがあります。(それができる生徒は多くはありませんが。)
ということで、提案に納得でき、予算が許すようでしたら、講習でしっかり学習し学力の向上を目指しましょう!