こんにちは!個別指導塾の現役塾長です。
このページでは、中学社会の公民より「基本的人権」について、テストや入試に出やすいポイントを解説しています。
解説の後には復習クイズもありますので、テスト勉強や受験勉強に役立ててください。
先にクイズにチャレンジしたい人は、目次からクイズを選んでくださいね。
それではいってみましょう!
基本的人権の種類と内容
次の5つを覚えます。
①平等権(法の下の平等)
②自由権
③社会権
④参政権
⑤請求権
順に詳しくみていきます。
①【平等権】
・男女の平等
・差別をなくす=平等
憲法では、「すべて国民は法の下に平等」であり、人種や性別・社会的身分により差別されないと定められています。
男女平等のための法律で重要なものは2つあります。
「男女雇用機会均等法」(1985年)
「男女共同参画社会基本法」(1999年)
どちらも男女の平等を目指す法律ではありますが、男女雇用機会均等法は「雇用」のみを規定しているのに対して、男女共同参画社会基本法は社会活動全般について規定しているという違いがあります。
また、障がい者差別や部落差別などの差別をなくすことで「みんな平等」を目指します。
障がい者差別をなくすためには、バリアフリー化した施設や街づくりが必要です。
バリアフリーとは、障がい者にとっての「バリア=障壁」を取り除くことをいいます。
例えば、車いすの人にとっては「階段」がバリア=障壁になります。これを解消するためにエレベーターやスロープを設置することがバリアフリー化となります。
部落というのは、江戸時代に「えた・ひにん」と呼ばれた人たちが住んでいた地域のことで、部落出身の人は差別に苦しんできました。
大正時代の民主化運動(大正デモクラシー)の中で部落差別や女性差別をなくそうという考えが広がった結果、1922年に全国水平社という部落差別をなくすための組織ができますが、すぐには差別はなくなりませんでした。
法律が整備され、「差別ダメ、ゼッタイ」という教育がされた結果、部落差別は解消されつつあります。
②【自由権】
・精神の自由
・身体の自由
・経済活動の自由
精神の自由
「何考えてもいいよ」ってことです。
たとえそれが良くないことや犯罪になりそうなことであっても、考えるだけなら自由ということになります。
「自分の意見を自由に言ってもいいよ」という表現の自由も認められています。
身体の自由
ドラマなどでよく刑事が犯人に手錠をかけるシーンがありますよね。
手錠をかける=身体の自由を奪う
ということになります。
これをするためには正当な理由と法律が定める手続きが必要となります。
具体的には、裁判所が発行する令状というものがないと逮捕できないことになっています。
ただし!目の前で窃盗をした人を捕まえる場合には令状はいりません。令状を請求している間に逃げちゃいますからね。
こういう場合を「現行犯逮捕」といいます。
身体の自由を守るために、それを制限するときには正当な理由と手続きが必要なのです。
経済活動の自由
「どこに住むのも自由だよ」
「好きなところに行っていいよ」
「どんな職業に就くかも自由だよ」
という考え方です。
ただし、これは「公共の福祉に反しない限り」とされています。
公共の福祉とは、簡単に言えば「みんなのため」ということです。
みんなのためにならないような個人の自由は制限されることがあるということですね。
例えば、感染症にかかった人が、
「オレはどこへ行くのも自由なんだ」
と言って感染を拡大してしまっては公共の福祉に反します。
よって移動の自由が制限され、隔離が認められるのです。
③【社会権】
・生存権
・教育を受ける権利
・勤労の権利
・労働基本権(労働三権)
社会権という考え方は比較的新しい考え方で、1919年に制定されたドイツのワイマール憲法で初めて保障されました。
一言で言えば、より人間らしく生きるための権利です。
以下、詳しい説明です。
生存権
人々が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利のことです。
「生活保護」という制度がありますね。
病気などで働けない人に生活費を支給する制度です。
この制度は「生存権」を保障するためにあります。
教育を受ける権利
「誰もが能力に応じて等しく教育を受けられる」という権利です。
小学校・中学校の義務教育は無償で全員が等しく受けられますね。
勤労の権利と労働基本権
勤労の権利とは、「だれもが働く場を求めることができる」ということです。
働く意思や能力があるのに、国がそれを規制しちゃダメってことです。
労働基本権は下の3つで、労働三権とも呼ばれます。
・団結権
・団体交渉権
・団体行動権
例えば、
君たちのような使えない社員の給料は時給100円だな!
とかいう鬼社長がいたとします。
こんな社長のもとでは働けん!
社長!辞めさせてもらいます!
おう!どうぞご勝手に。
どうせ代わりはいくらでもいるさ。
と、一人で反抗しても鬼社長の考えを変えることができないんですね。
だから社員みんなで団結し、労働組合という組織をつくります。
鬼社長もさすがに全員いっぺんに辞められたら会社が成り立たずに困ってしまいますので、団結した労働者たちと話し合いをすることになります。
この、労働組合をつくる権利を団結権といい、団結して社長(経営陣)と話し合いができる権利を団体交渉権といいます。
そしてさらに、
あの鬼社長、全然こっちの要求に応えてくれないじゃないか!
こうなったら実力行使だ!
みんなで今日から3日間仕事をボイコットしよう!
という事態が起こります。
要求が通らないときに仕事をしないで社長を困らせる行為をストライキといい、これを行える権利を団体行動権といいます。
これら3つの権利を保障することで、労働者を守っているのです。
④参政権
・選挙権、被選挙権
・請願権
⑤請求権
・裁判を受ける権利
・損害賠償請求権
・刑事補償請求権
参政権・請求権という2つの権利は、平等権・自由権・社会権を中心とした基本的人権を守るための権利と言われます。
参政権というのは文字通り政治に参加する権利です。
自分がもし何かの話し合いに参加していたとすると、自分に不利な決定はしませんよね。
国民が政治に参加すれば、国民の人権を守ることができるということです。
請求権は、基本的人権が侵害されてしまった場合に、救済を求める権利です。
例えば、やってないのに痴漢で捕まったとしますね。
そうするとしばらく取り調べなどで身体の自由を奪われてしまいます。
そして真犯人が捕まるなどして潔白が証明された場合に、お金で補償してもらうことができます。
これが刑事補償請求権です。
【新しい人権】
・環境権
・知る権利
・プライバシーの権利
・自己決定権
これらの権利は、時代が進むにつれて社会が変化し、その中で「守られなければならないじゃないか」と考えられるようになったものです。
例えば、
経済が発展して公害が発生したとか、
交通が発達して騒音問題が発生したとか、
社会が変化して住みやすい環境が守られなくなったことで、
「環境権大事!」
という考えが生まれました。
【国民の三大義務】
・勤労の義務
・納税の義務
・教育を受けさせる義務
権利を守るためには義務も果たすべきという考えです。
教育については、
子どもが「教育を受ける権利」を持っていて、
保護者が「子どもに教育を受けさせる義務」を負っているということになります。
解説は以上です!
ここからは復習クイズです。
頑張ってくださいね!
中学社会 公民「基本的人権」クイズ15問
クイズは以上です!