こんにちは!個別指導塾の現役塾長です!
このページでは中学社会の公民より、「裁判所」について解説します。
復習クイズもありますので、テスト勉強や受験勉強にお役立てください!
先にクイズにチャレンジしたい人は目次からクイズを選んでくださいね。
裁判のしくみ
裁判の種類
訴えてやる!!
テレビなどで、トラブルに巻き込まれた人がこんなセリフを言うことがありますよね。
これは、私人の間の争いを解決するために裁判をおこすということです。
例えば…
ねえねえ、ちょっとお金ないからさ、10万円貸してくれない?
しょうがないな~
1か月後に返してくださいよ。
~~~~~1か月後~~~~~
ごめんごめん、まだ返せないんだ。
また今度ね!
いや~、そろそろ返してもらわないと困りますよ
~~~~~3か月後~~~~~
返せ返せって言われても、無いもんはしょうがねえだろ
いい加減許せん!
訴えてやる!
こうして裁判を行い、裁判所が支払いの命令をしたり、財産を差し押さえたりして解決します。
このような私人間の争いを解決するための裁判を民事裁判といいます。
民事裁判では訴える人を原告、訴えられた人を被告といいます。
そして実は裁判にはもう一つの種類があります。
それは刑事裁判です。
刑事裁判は、犯罪行為を裁くために行われます。
では、刑事裁判において訴える人は誰でしょうか。
「被害者でしょ」と思った人がいるかもしれませんね。
でも、殺人事件の場合は被害者が亡くなってしまっていて訴えることができません。
実は刑事裁判では訴える役は決まっています。
それは検察官です。
犯罪者やそうだと思われる人を捕まえるのは警察の役目なんですが、事件について詳しく調べて裁判をおこすかどうか判断するのは検察官の役割です。
コイツは証拠や目撃証言から明らかに有罪だ!
裁判をおこすぞ。
このように検察官が裁判をおこすことを起訴といいます。
そして罪を犯した(疑いのある)者は起訴されると被告人と呼ばれます。
ニュースで「容疑者」と呼ばれるときと「被告人」と呼ばれるときがありますね。
これは起訴されたかどうかで変わるということです。
民事と刑事を簡単にまとめると次の通りです。
民事裁判 | 刑事裁判 | |
---|---|---|
内容 | 私人間の争い | 犯罪行為 |
訴える人 | 原告 | 検察官 |
訴えられる人 | 被告 | 被告人 |
「被告」と「被告人」の違いに注意しましょう!
裁判所の種類
5つあります。
①最高裁判所
②高等裁判所
③地方裁判所
④家庭裁判所
⑤簡易裁判所
このうち、最高裁判所以外の4つをまとめて下級裁判所といいます。
三審制
一つの事件につき3回まで裁判を求めることができる仕組みのことを三審制といいます。
Q.三審制がある理由は?
A.裁判を慎重にすることで裁判の誤りをなくし、人権を守るため。
この質問は頻出ですのでしっかり覚えましょう。
「確かに犯罪を犯したけど、10年も刑務所にいなきゃいけないのは納得できない!」というような場合は、被告人が
「もう一回裁判やり直して!」
ということができます。
このように第一審の判決に不服で、上級の裁判所に第二審を求めることを控訴といいます。検察が起訴したものの無罪になってしまった場合などは、検察が控訴することもあります。
第二審に不服でさらに上級の裁判所に第三審を求めるときには上告となります。
第一審
⇩(控訴)
第二審
⇩(上告)
第三審
刑事裁判における人権保障
①令状がなければ逮捕されない(現行犯以外)
②黙秘権がある
③拷問による自白は証拠にならない
④弁護人を依頼できる
⑤刑事補償請求権
⑥再審
たとえ犯罪者といえども、人権はあります。
疑わしいと思われても、逮捕するには裁判所が発行する令状が必要です。
自由権の一つ、身体の自由を奪うわけですから、それなりの理由が必要ということですね。
また、自分に不利な供述を強要されない権利である黙秘権や、弁護人を依頼できる権利もあります。
「刑事補償請求権」っていうのは、被告人が無罪の判決を受けたときに、国に補償を求めることができる権利です。
何日も拘束されるわけですから、その間働けず収入ゼロですよね。精神的苦痛も受けているかもしれません。
それを金銭で補償しようという制度です。
逮捕・拘留された日数に応じ、日額1,000円以上12,500円以下が支払われるそうです。
司法権の独立と違憲審査権
司法権の独立
裁判官は憲法および法律に従うほかは、自身の良心にのみ従い、独立して裁判を行うとされています。
たまに正誤問題などで「裁判官は政府の指示に従う」と書かれたりしますが、これは誤りですので注意してくださいね。
裁判官の身分保障
例えば、政府(国)が裁判官の身分をコントロールできる(辞めさせることができる)としましょう。
そうすると、裁判官は政府のやっていることが憲法違反だとしても
「間違ってるよ!」
って言えなくなってしまいますよね。
辞めさせられちゃうのコワイですから。
そうならないために、裁判官の身分は保障されています。
守られているんです。
しかし!
もしもヤバイ裁判官がいたらどうでしょう?
「コイツは辞めさせないとみんな困る!」
と思うような人でも身分は保障されているのでしょうか。
実は、そのような場合は辞めさせることができるんです。
誰がどのように判断するか?
それは弾劾裁判というものです。
国会の権限として、裁判官が不適任かどうかを判断することができるのです。
国会議員が14人集まって、問題のある裁判官をやめさせるかどうか決めるんですね。
これまでに7人の裁判官がこれにより罷免されたそうです。
また、国民審査という制度もあります。
これは、最高裁判所の裁判官が適任かどうかを、国民が判断するものです。
そして、心身の故障が認められた場合も辞めさせることができます。
【裁判官が辞めさせられる場合】
①弾劾裁判
②国民審査
③心身の故障
裁判官の任命
辞めさせるのときに慎重だということは、任命するときも慎重です。
最高裁判所の長官(一番エライ人)は、内閣が指名し、天皇が任命します。
最高裁判所のその他の裁判官や、下級裁判所の裁判官も内閣が任命します。
違憲審査権・「憲法の番人」
裁判所は、法律や命令が憲法に違反していないかどうかを審査する権限を持っています。
これを違憲審査権といいます。
そして、最高裁判所は、合憲か違憲かの最終的な決定権を持っているため、「憲法の番人」と呼ばれています。
国民の司法参加
裁判員制度
国民の意見を裁判に反映させることを目的に、2009年から始まった制度です。国民からランダムで選ばれた人が裁判員として裁判に参加し、プロの裁判官とともに判決を下します。
【裁判員制度のポイント】
・重大な刑事裁判
・第一審のみ(地方裁判所のみ)
・裁判員6人と裁判官3人
重大な刑事事件とは、殺人や放火、危険運転致死などが当てはまります。
そしてこのような重大事件の裁判は簡易裁判所では行われず、必ず地方裁判所で第一審が実施されます。
解説は以上です!
ここからは復習・定着クイズです。
頑張ってくださいね!
公民「裁判所」クイズ17問
クイズは以上です!